今では素材や形などバリエーションが豊富になった男性下着。その原型は、腰に布を巻きつけただけの簡素なものでした。
耐久性を競ったした時代、快適さを追求した時代、ファッション性が価値になった時代。男性下着の歴史は、そのまま産業と社会の変化の記録でもあります。ここでは古代から現代まで、11の時代をたどります。
01動画で見る男性下着の歴史In Motion
年表を読む前に、まずは映像で。古代から現代までの移り変わりを短くまとめた動画です。
動画出典:Mode.com ↗
02男性下着の年表Timeline
古代から現代まで11の時代をたどります。気になる時代をタップすると、そこへ移動します。
- 〜5C
古代Ancient
適当な大きさに作られた布を腰に巻きつけたものが、最初の下着であったとされています。紐で腰に結びつけて股の下を通し、後ろで固定するふんどし型と、胴回りに巻き付けてピンやベルトで止める腰巻き型の2種類に分けられます。多くの古代文明では下着が唯一の衣服であり、古代エジプトの王ツタンカーメンは145枚の褌とともに埋葬されました。
- 5C〜16C
中世・ルネサンスMedieval & Renaissance
中世ヨーロッパでは、毛や麻などの目の荒い織物から、柔らかい綿などの平織りの素材で作られるようになりました。腰と太ももで紐で固定するブライズ(braies)と呼ばれる薄手のズボンが着用され、豊かな者は足を覆うチャスズ(chausses)を身につけていました。ルネサンス期に入ると、チャスズはより体に密着するタイツのようになり、ブライズは徐々に短く小さくなっていきます。
- 18C
産業革命Industrial Revolution
プランテーションによる綿花の増産、自動機織機の開発、綿繰り機械の発明により、安価な綿布製品を大量生産できるようになります。家で手工業として作られたものではなく、工場で大量生産された下着を店で買えるようになったのはこの時代です。19世紀の一般的な下着は、男女や子供を問わず手首から足首まで覆うユニオンスーツでした。
- 20C初頭
1900年代1900s
下着市場は飽和状態になり、競争から様々な工夫や機能が生まれます。現在でも下着大手のヘインズ社は、この競争を勝ち抜いた会社のひとつで、ユニオンスーツの最大手になりました。紡績技術も進化を続け、1着のユニオンスーツを1時間未満で作れるようになります。
- 1911〜
1910年代1910s
激しい競争から広告の必要が認識され、様々な形の広告が登場します。アメリカで最初に下着の広告が掲載されたのは1911年のサタデー・イブニング・ポスト誌。初期の売り文句は耐久性と着やすさで、ファッション性はまったく問題にされていませんでした。第一次世界大戦に従軍した兵士には、前でボタンを留める短パンが下着として支給され、このデザインが流行してユニオンスーツは凋落を迎えます。
- 1920s
1920年代1920s
生産する会社は耐久性より快適さを追求するようになります。ボタンを減らし着やすさを追求した新たなデザイン上の特許が売り文句として掲載されるようになりました。耐久性に優れたナインソックという柔らかい生地も広く使われ、一度下洗いしてある収縮済みの下着も売り出されます。
- 1935
1930年代1930s
男性向け下着の発明と改良が進みます。1935年1月19日、シカゴのクーパー株式会社の手により、ジョッキーと名づけられた世界初のブリーフが売り出されました。ボタンや紐の代わりにゴムが腰周りに使われるようになり、プロボクサー選手が身につける短いズボンに似たボクサーショーツが広く売り出されます。
- 1940s
1940年代1940s
それまで下着といえば白のみでしたが、プリント柄や赤や黒の下着も売り出されるようになります。ファッション性も理解され、レーヨンやダクロン、ナイロンのような化学繊維が広く試されました。男性用の下着にも、大柄の模様やメッセージ、キャラクターイメージがプリントされたものが登場します。
- 1970s〜80s
1970〜80年代Fashion Era
ファッションとしての下着市場は成熟を迎え、メーカーは広告のなかで耐久性や快適さではなく、下着がかもし出す魅力を主張するようになります。1980年代のセレブリティは、下着をファッションの一部として露出させ有名になりました。同じ頃、ブラジルでソング(Tバック)として知られる下着が広まります。
- 1990s
1990年代1990s
ヒップホップを元とするストリートファッションの流行のなかで、大きめのジーンズを尻や膝でずり下げて履き、トランクスやショーツを露出させることが流行します。この流れの中で、初めから見せることを考えて作られた下着も広まりました。またこの年代に、ブリーフとボクサーショーツの特徴を併せ持つボクサーブリーフが売り出されます。新しいデザインとして登場しましたが、1910年代に流行していたユニオンスーツの下半身部分とほぼ同じデザインでした。
- 2000s〜
現代Today
素材と機能の進化が加速します。吸汗速乾、抗菌防臭、接触冷感、3Dポーチ、シームレス設計。下着は「身につける布」から、快適性とパフォーマンスを支えるギアへと変わりました。ルカノールが専門店として創業したのは2007年。世界中から良質なものだけをセレクトし続けています。
03歴史から見えることWhat It Tells Us
興味深いのは、1990年代に「新しいデザイン」として登場したボクサーブリーフが、1910年代に流行していたユニオンスーツの下半身部分とほぼ同じ形だったことです。下着の歴史は、直線的な進歩ではなく、素材と価値観の変化にあわせた往復運動として進んできました。
変わらないのは、肌にいちばん近い一枚であるという事実だけです。耐久性の時代も、快適さの時代も、ファッションの時代も、そこだけは同じでした。
このページのまとめ
- 世界初のブリーフは1935年1月19日、シカゴのクーパー社が発売した「ジョッキー」
- 1940年代まで、下着の色は白がほぼ唯一の選択肢だった
- ボクサーブリーフの形は、1910年代のユニオンスーツ下半身とほぼ同じ
