2025.06.26

給料より下着が語る時代。「男性用下着指数(MUI)」で経済を読む

スタッフ

この頃、高速なテクノロジーとAIに気を取られがちな日常ですが、実はこの世の普通のこと。そう、それは「下着」。

アメリカの元FRB議長アラン・グリーンスパンが着目した、非公式な経済指標「MUI(Men’s Underwear Index)」は、普段は気にもしないような常識に、経済の形を映すヒントを見つけるユニークな視点です。

MUIとは何か?──”見えない消費”が見せる景気の正体

「MUI(Men’s Underwear Index)」とは、男性用の下着の売上データをもとにした景気のバロメーターです。

その背景と着眼点

男性下着は、生活必需品でありながら、外見に関係しないことから消費の優先順位が低い傾向にあります。つまり、収入が減ったとき、人はまず外から見えないもの、つまり下着の買い替えを後回しにするのです。

アラン・グリーンスパンは、次のように説明しています:

「誰もが必要としているが、景気が悪いと買わなくなる」

つまり、MUIは”目立たない支出”が減ることで経済の停滞を示す、一種の「節約心理」指標ともいえます。

この指標は、特に男性が下着にあまりこだわりがないという行動傾向と結びつき、景気の冷え込みをいち早く察知するツールとして注目されています。

MUIが機能する理由──ファッションより現実的な支出心理

下着は誰にとっても必要なものですが、選ばれる理由は贅沢さでも流行でもなく、「もう限界まで履いたから」という現実的なものがほとんど。

そのため、経済が安定していれば定期的に買い替えが行われる一方、不況期には購入を後回しにする傾向が如実に現れます。

  • 高級スーツは我慢しても、最低限の清潔感は保つための下着にはお金を使う……と思われがちですが、実際には「穴が空いてもまだ履ける」という選択肢を取る人が少なくないのです。

データが示す現実のライフスタイル

衣料品小売業者トミー・ジョンがアメリカ人2,000人を対象に行った調査によると:

  • 45%の人が「同じ下着を2日以上着用」
  • 13%の人が「1週間以上着続けている」
  • 46%の人が「同じ下着を1年以上所有」
  • 85%は「最も古い下着をどのくらいの期間使っているか把握していない」

これは、ただの怠慢というより、日々の生活におけるコスト意識と買い控え心理の現れとも言えます。

2025年のMUI分析──数字の裏に見える生活者の本音

2025年現在、アメリカの男性用下着市場は一見すると落ち着いて見えますが、その内情は大きく異なります。

データで見るMUIの動向

  • 2025年5月時点のPPI(生産者物価指数)「Underwear and Nightwear」セクターは161.474。
  • これは前年同期と比較して微増傾向だが、出荷数ベースでは前年比マイナスを記録。

つまり、価格は上がっていても、買われていないという状況。これは「量は減り、単価は上がる」つまり、インフレと消費の縮小が同時に進んでいることを示しています。

また、2024年後半から始まった消費者の節約志向は、2025年になっても継続中。実際にアパレル調査機関の報告によれば、下着の平均購入サイクルは過去10年で最長となる「約1.8年」に達しています。

ライフスタイルの変化も反映

  • サブスクリプション型の下着購入モデルが成長している一方、
  • 「高機能で長持ちする製品」への需要が増えた結果、買い替え頻度が減る傾向に。

つまり、消費者の目線は「安さ」よりも「長期的コスパ」へと移りつつあり、従来のMUIが示していたような短期的な消費行動だけでは捉えきれない複雑な心理が見え始めています。

MUIは何の役に立つのか?──公式統計に隠れた”気”を読む

GDPや失業率、インフレ率のような公式統計では捉えきれない「消費者の心理変化」を察知する点で、MUIは非常にユニークな役割を果たします。

たとえば、

  • 景気後退の初期段階では、まず下着の購入頻度が下がる。
  • 回復局面では、反発するように下着の売上が戻る。

このように、MUIは”遅行指標”ではなく、先行指標としての側面も持っています。

他のユニークな非公式指標と比較

  • リップスティック指数:安価な贅沢品の売上が増える現象(景気後退のときに口紅が売れる)
  • ヒール指数:ヒールの高さと景気の関係
  • ビッグマック指数:購買力平価を見るためのグローバルな物価指標

これらと比べても、MUIは「贅沢品ではなく必需品に現れる節約心理」という点で非常に実務的です。

なぜ、今MUIが注目されるのか

見逃されがちなデータの中に、最もリアルな景気の”気”があります。

たとえば、あなたが最後に下着を買い替えたのはいつですか? それが1年以上前なら、あなたもMUIの一部かもしれません。

今、世の中は「消費に慎重」なモードへ確実に移行しています。それはクレジットカードの明細でも、贅沢品の売れ行きでもなく、「普段誰にも見せない自分だけのアイテム」に最も端的に表れるのです。

MUIは、私たちが気づかないうちに発している経済のSOSを、静かに、しかし鋭く伝えてくれる指標なのです。

今後もこの小さな指標を追い続ければ、次の景気の風向きを誰より早く感じられるかもしれません。

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